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刑事事件専門 弁護士中澤剛のblog

2013年11月24日

構成要件・違法・有責・・・逮捕に強い東京の刑事事件専門弁護士中澤剛のブログ

author:弁護士 中澤 剛

刑事上,犯罪が成立するためには,構成要件に該当し,違法性阻却事由がなく,責任が認められることが必要とされています。

例えば,通説では,人を殺すという構成要件に該当しても,それが死刑の執行として死刑囚を殺した場合には,正当行為として違法性が阻却され,犯罪にはなりません。

ただ,これと異なった立場もあります。
井田良先生の「講義刑法学・総論」によれば,違法性阻却事由というものを,「消極的構成要件要素」としてとらえます。
つまり,正当防衛等の違法性阻却事由が存在した場合には,違法性がないのではないのではなく,構成要件該当性が否定されるというのです(同書91頁)。
人を殺しても構成要件該当性が否定されるという学説には,常識を否定するような驚きを感じました。
この説の欠点は,この説を前提にすると,蚊を殺しても,正当防衛で人を殺しても,等しく構成要件該当性が否定されてしまうことになりますが,蚊を殺すことと人を殺すことで同じように構成要件該当性が否定されることは,刑法の評価としていかがなものか,等しく違法性のない行為であっても,やはり,構成要件のレベルでは,人殺しと蚊を殺すこととは異なる評価が与えられるべきではないか,というものがあります(同書92頁)。
この批判は説得的に思われます。

違法性阻却事由を構成要件レベルで一元化して理解するよりも,構成要件というのは違法性の判断の構成部分にすぎないのであるから,構成要件に該当しないということは違法性がないことを意味する,違法性阻却事由がないということもやはり違法性がないことを意味する,というように,違法性のレベルで一元化して理解する方が正しいと思います(西原先生や平野先生,山口先生は,そのように理解されるようです)。
何故,井田先生は構成要件というレベルで一元化しようとしているのか,井田先生の意図は測りかねるところがありますが,規範論的一般予防(何が違法であり何が適法であるか,すなわり規範を明示することにより一般人が犯罪に出ることを予防すること)を重視する井田先生の立場からすると,構成要件というものが果たす保障的機能(罪刑法定主義的機能)が重要であるため,構成要件の位置づけに重きを置こうとされているのかも知れません。

等々といろいろ述べましたが,上記は,実務には,全く影響のない,概念操作というか,頭の中だけの議論ですね。刑法総論の学問分野が争点となった事案には,実務では私はまだ経験したことがありません。

なお,新司法試験の受験という意味では,井田先生の上記教科書は,やめた方がいいと思います。正当防衛が成立するので構成要件該当性がない,等と答案に書いたら,間違いなく刑法は落第でしょう。論点のつまみ食いをするにしても,随所に従前の記述を前提とした論述が出てくるので,論点の箇所のつまみ食いをするのもなかなか容易ではないと思います。むしろ,規範論的一般予防という観点から刑法を体系的に理解するという意味で,通読する方が,試験で点を取るという意味ではなく法的な思考力をつけるという点で,滋養になると思います。

 


カテゴリー:刑事事件 comments(0) 3:42 PM 

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