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刑事事件専門 弁護士中澤剛のblog

2014年6月15日

逮捕に強い東京の刑事事件専門弁護士・・・泥棒から自分の物を取り返したら泥棒か

author:弁護士 中澤 剛

ある日、Aさんは、自分の大事な時計を盗まれました。

後日、Aさんが喫茶店でコーヒーを飲んでいたところ、隣の席の人のカバンの中に、自分の時計を見つけました。その時計には、Aさんのイニシャルが彫ってあり、かつ、とても珍しい限定版の時計であったため、Aさんは、その時計が自分のものだと確信したのです。

たまたま、Bさんはトイレに席を立ちました。Aさんは、この隙に、この時計をこっそり取り返しました。Aさんは泥棒になってしまうのでしょうか。

これは司法試験受験生は、皆、勉強する話です。

常識的に考えたら、自分の物を取り返して何が悪い、という気がします。

ところが、窃盗罪が成立してしまう、というのが通常の見解です。

なぜかというと、このようにAさんが自分の力で物を取り返すことを自力救済と呼ぶのですが、そのような自力救済がまかりとおると、社会秩序がめちゃくちゃになってしまう、というのが大きな理由です。

たとえば、上の例で、Bさんが本当に窃盗犯人なのかはわかりません。ヤフーオークションで買っただけの人かもしれません。(こういった買主は、民法上、即時取得といって所有権があるのです。被害者には返還請求権がありますが、この返還請求権とて、無断で持ち去ることを認める権利ではありません)
それなのに、Bさんが勝手にAさんから時計を持ち去られては、Bさんはたまったものではありません。

第2に、このような場合に仮に窃盗罪が成立しないとすると、容易に故意が認められなくなって不当と思います。
要するに、「Bさんが持っている財産は、本当は泥棒して得た財産だと思った」ということであれば、窃盗罪に必要な故意がないことになり(あるいは、違法性阻却事由に関する事実の錯誤があることになり)、窃盗罪の成立が認められなくなってしまうのです。

もっとも、緊急状態でどうするか、は別の問題です。
たとえば、AさんがBさんに時計を盗まれ、「待てー!」と追いかけて取り返す、これは当然に適法です。このような場合にまで窃盗罪が認められるものではなりません。
このことの参考になるのが、事後強盗罪という犯罪です。
窃盗が、財物を取り返されることを免れる目的で暴行を加えると、事後強盗罪という犯罪になります(刑法238条)。
この規定は、窃盗犯人の占有を否定している規定であり、自力救済を緊急状態に限っては許容している規定と考えることが可能でしょう。
事後強盗罪の成立範囲と、自力救済の可能範囲とがパラレルなのかどうかは、あまり議論を見たことはありませんが、ある程度の相関関係はあるように思われます。
つまり、事後強盗罪が成立する段階では、自力救済は窃盗罪にならないが、事後強盗罪が成立しないような段階では、自力救済は窃盗罪になりうる、というような相関関係があるのではないでしょうか。
このような相関関係がある、という議論を学説で見たことは一度もありません。刑法学者の先生方にお話ししてみたいと思っています。相関関係がある、というのは私のまったくの空想、想像にすぎませんのであしからず。

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カテゴリー:刑事事件 comments(0) 7:45 PM 

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