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刑事事件専門 弁護士中澤剛のblog

2014年5月21日

逮捕に強い東京の刑事事件専門弁護士・・・袴田事件その4

author:弁護士 中澤 剛

袴田事件の第一審を担当した元裁判官が,無罪の心証を抱いていたことがニュースでちょくちょく取り上げられています。

この点,この元裁判官が告白する以前から,弁護団は,第一審の判決文を読み込み,

「裁判官の間でも,有罪と無罪とで判断が分かれたまま,この判決は書かれたに違いない」

という推論をしていました(そして,それは大正解であったことが,2007年に判明しました)。

1997年に刊行された季刊刑事弁護(←またか!と思わないでください,笑)の10号では,秋山賢三弁護士が袴田事件の刑事弁護レポートを執筆されています。

同レポートでは,「原1審判決には,三人の裁判官による心証の分裂,すなわち『合議の分裂』を示す徴表が随所に表れている」
と述べ(同号108頁),

「われわれは,当時の静岡地裁刑事部の構成等,裁判官の諸要素を種々分析の結果,結局,右の『付言』や判示相互間の齟齬は,原一審判決における『合議の分裂』の表れであり,無罪心証を抱く者と有罪への予断・偏見を抱く者との凄まじい相克の産物としてのみ理解しうる,との結論に到達した」(同号110頁)と断じています。

お見事!という他ありません。

上に書いた原一審の「付言」とは,以下のようなものです。

「本件の捜査に当たって,捜査官は,被告人を逮捕して以来,専ら被告人から自白を得ようと,極めて長時間に亘り被告人を取調べ,自白の獲得に汲々として,物的証拠に関する捜査を怠ったため,結局は,『犯行時着用していた衣類』という犯罪に関する重要な部分について,被告人から虚偽の自白を得,これを基にした公訴の提起がなされ,その後,公判の途中,犯罪後一年余も経て,『犯行時着用していた衣類』が,捜査当時発付されていた捜索令状に記載されていた『捜索場所』から,しかも,捜査官の捜査活動とは全く無関係に発見されるという事態を招来したのであった。このような本件捜査の在り方は,『実体的真実の発見』という見地からはもちろん,『適正手続の保障』という見地からも,厳しく批判され,反省されなければならない。本件の如き事態が二度と繰り返されないことを希念するあまり敢えてここに付言する」

このような文章が,死刑判決の文章の中に同居しているのです。
(その後,今般の再審開始決定は,捜査機関による証拠の捏造の疑いがあると断じたことはご承知のとおりです。)

同レポートに掲載されている,袴田氏の息子への手紙は胸を打ちます。

「・・・息子よ。どうか直く清く勇気ある人間に育つように。すべて恐れることはない。そして,お前の友達からお前のお父さんはどうしているのだと聞かれたら,こう答えるが良い。僕の父は不当な鉄鎖と対決しているのだ。古く野蛮な思惑を押し通そうとする,この時代を象徴する古ぼけた鉄鎖と対決しながら,たくさんの悪魔が死んで行った。その場所で不当の鉄鎖を打ち砕く時まで闘うのだ。
 息子よ。お前が正しい事に力を注ぎ,苦労の多く冷たい社会を反面教師として生きていれば,遠くない将来にきっとチャン(注:袴田さんのこと)は懐かしいお前の所に健康な姿で帰っていくであろう。そして必ず証明してあげよう。お前のチャンは決して人を殺していないし,一番それをよく知っているのが警察であって,一番申し訳なく思っているのが裁判官であることを。・・・」

実際には,ほとんどの裁判官が「申し訳なく」など全く思っていないことが,この国の刑事裁判の恐ろしさなのではありますが,,,。

警察や捜査機関の問題もありますが,その問題を断罪できない裁判官が,最大の問題だと思います。
捜査機関は悪いことはしないという思い込みに固まり,チェック機能が働いていないのですから。

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カテゴリー:刑事事件 comments(0) 12:04 PM 

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