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刑事事件専門 弁護士中澤剛のblog

2014年4月4日

逮捕に強い東京の刑事事件専門弁護士中澤剛・・・未成年者が、成人と偽って有害図書を購入したら詐欺罪となるか

author:弁護士 中澤 剛

1 未成年者(18歳未満。煩雑なので、未成年と表記します。)が、成人(18歳以上)であると偽って、未成年者への販売が禁止されている図書を購入したら詐欺罪となるのでしょうか。
 
多くの男性にとっては、「そんなことで詐欺罪!?」と思うのが通常の感覚ではないでしょうか。仮にこれで詐欺罪だとすれば、多くのとは言わないまでも、少なからぬ男性が、未成年の時代の行為について、詐欺罪の犯罪者になってしまうように思われます。未成年者だから少年事件となるわけですが、家庭裁判所の少年審判で裁判官から、「なんで君はこんな犯罪を犯したのか」とか、そういう恥ずかしいやり取りが行わることになりかねません。
 
2 形式論
詐欺罪というのは、①人を騙す行為をして、②その結果人が騙されて、③物(またはサービス)を提供して、④物またはサービスが騙した行為者に移転することにより成立する犯罪です。
そうすると、未成年者なのに成人だと騙す行為をして(上の①を充足)、その結果、お店の人が、この人は成人だと騙されて(②を充足)、有害図書を提供して(③を充足)、有害図書が未成年者のもとに渡れば(④を充足)、形式論としては、詐欺罪が成立することになりそうです。
 
3 お店に損害はあるのか。
そうだとしても、有害図書を購入する際に、未成年者はその代金を支払っています。500円なら500円をちゃんと払っていて、お店は、ちゃんと有害図書の代金をもらっているのです。売れて得をしているとすら評価できます。このように、未成年者は代金を払っているのに、それでも、詐欺罪が成立するのでしょうか?
 
通説的な立場は、詐欺罪を個別財産の罪ととらえます。要するに、自分の手元からなくなったまさにその物(今回の例でいえば、未成年者が購入して持って行った有害図書そのもの)がお店からなくなったのだから、お金をもらっていても損害があると捉えます。
他方で、たとえば西田教授などは、通説的な立場では損害というのがあまりに形式的だとして、詐欺罪の損害をもっと実質的に考えるべきであると主張されています(刑法各論第6版 203頁以下)。
そして、騙された人(被欺罔者)が何等かの財産的損害を被る可能性が存在することが必要であると主張されています(上記書籍209頁)。
このような立場からは、お店の人が成人だと騙されても何らかの財産的損害を被る可能性はないといえるので、詐欺罪は成立しないこととなります。
 
4 これに対して、上記の例とは離れますが、たとえば、近時の判例では、第三者に無断譲渡する意図を隠して、自分の名前でプリペイド式携帯電話を購入する行為について、詐欺罪(未遂)の成立を認めたものがあります(東京高等裁判所平成24年12月13日 法学教室の判例セレクト2013年版 刑法7事件や、刑事法ジャーナルの最新号(第39号)93頁等で紹介されています)

この事件でも、購入者が携帯電話の代金をキチンと払っていることは未成年者の有害図書事例と同じです。ですが、この事例では、詐欺罪が成立しています(この事案で未遂なのは、お店の人が、第三者に譲渡する意図を認識していたためであり、認識していなければ既遂になります)。
やはり、お店に損害はないのではないでしょうか。それなのに、なぜ携帯電話の購入では詐欺罪になるのでしょうか。未成年者が有害図書を購入する事例と、何が違うのでしょうか。
両者は同じようにも思えますが、未成年者が年齢を偽って有害図書を購入する場合に比較して、携帯電話を第三者に譲渡する意思を内緒で買うという行為は、非常に悪い行為のように思われます。誰が見ても怪しい匂いがプンプンします。犯罪の温床にもなるかもしれません。
しかし、怪しいというだけで犯罪にしてしまうということは、検事や裁判官の恣意的な判断を許すことになり、許容しがたいものです。やはり、両者を区別する理論的な支え、区別の基準が必要です。
この点は、学説がいろいろと議論していて、興味深い問題です。
学説の中には、未成年者の有害図書購入事例でも詐欺罪の成立を認めてよいのだという見解もあるところです。しかし、私としては、それは行き過ぎであるように思われます。実質的な違法性がないとして、無罪を主張するのもありえますが、そもそも構成要件該当性が肯定されてしまうことも釈然としないところです。
何か独創的かつ有効適切な区別の基準を考えることができたら、大学教授になるのも夢ではないと思います(笑)

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カテゴリー:刑事事件 comments(0) 6:38 PM 

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